(文献紹介) Google の COVID-19 感染予測

こんにちは、CTO室リサーチャーの富田です。 モルフォでは論文紹介を持ち回りで行うジャーナルクラブという活動がありますが、画像処理に関する論文に限らず、担当者が興味を持ったテーマについて紹介することもあります。Google Cloudが昨年公開した COVID-19 感染予測(US版日本版) は大きな話題になりました。そのホワイトペーパーである "Interpretable Sequence Learning for COVID-19 Forecasting" についてこのジャーナルクラブで発表したので、こちらでもご紹介します。感染者などの時系列推移を学習するだけでなく、疫学の専門家や意思決定者による学習結果の解釈のしやすさを重視した手法となっています。

このホワイトペーパーは機械学習のトップカンファレンスとして知られる NeurIPS 2020 にacceptされていますが、疫学における感染症の数理モデルを大枠としており、意外にも?機械学習的な部分は非常に簡素な作りです。そのため本記事・スライドの前半はその疫学の数理モデルの紹介*1、後半が本論文の手法の紹介となっています。

*1:この部分についてはなるべく元の文献に沿う形にした上で他の文献にもいくつか当たるなどして正確を期す努力はしていますが、私は疫学のバックグラウンドはない(物理が専門でした)ことをお断りしておきます。

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Morpho's 35-hour Projects

Hi everyone! I am Chamin, a senior boffin research engineer from Morpho's CTO Office. In this post, I will introduce Morpho's way of letting its members do their own fun projects during work time.

At Morpho, our designated work time is seven hours a day (averaged over the month). Depending on the number of working days in a month, this can result in up to 161 hours a month. Any full-time worker at Morpho is allowed to use up to 20% of this time on a personal project. So long as the project is somehow related to Morpho's business scope, any project idea is fine. If the project needs a bit more time, additional time can be used so long as the total does not exceed 35 hours a month (hence the name, the 35-hour project). Using company resources is fine, as long as it does not delay actual business work. We launched this initiative in 2018 for only the technical staff, and later expanded it to include all regular staff.

This is not exactly a new idea. I am sure most of you are going to say "Oh, like Google's 20% Project". At the turn of the century, Google allowed its workers to pursue personal projects using up to 20% of their paid work time. However, the concept has its origins at 3M, the company that is well-known for inventing the post-it note. Since 1948, 3M has made it mandatory for employees to use 15% of their work time for independent projects. Several other companies ran, or still have similar projects. Microsoft's Garage, Yahoo's Hack Day, Atlassian's 20% projects, and Apple's Blue Sky are some examples.

This is getting crowded, isn't it? There is even a book written about this kind of initiatives, if you want to read more about them.

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(文献紹介)デブラー手法の紹介

こんにちは、CTO 室リサーチャーの三宅と申します。 モルフォでは、学術論文の輪講を行う「ジャーナルクラブ」という有志による活動があります。今回は、このジャーナルクラブで発表した内容をご紹介いたします。

イメージセンサーの露光中にカメラが動くことで、写真がボケてしまうことをモーションブラーといいます。モーションブラーは、スマホを手持ち撮影すると日常的に生じてしまう現象です。光学的な解決策のひとつとして、シャッタースピードを速くして露光時間を短くするというのがありますが、露光量が減るため今度はノイズが目立ってしまうというトレードオフがあります。したがって、画像処理によってモーションブラーを除去(デブラー)し、写真をきれいにする手法が必要になります。今回紹介するのは、古典的なモーションブラーモデルを変分ベイズによって解くことで、1枚の入力画像からデブラーを実現する手法 [1] 、そして、複数フレーム画像(動画)を入力として、より精度よくデブラーする深層学習モデルを使った手法 [2] です。

[1] Fergus, Rob, et al. "Removing camera shake from a single photograph." ACM SIGGRAPH 2006 Papers. 2006. 787-794.

[2] Zhong, Zhihang, et al. "Efficient spatio-temporal recurrent neural network for video deblurring." European Conference on Computer Vision. Springer, Cham, 2020.

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画像分類タスクにおける半教師有り学習 第2回

こんにちは、モルフォリサーチャーの芳賀です。

1回目の記事では半教師有り学習の概要に始まり、ラベル有りデータとラベル無しデータを一度に学習に組み込むone-stage学習に焦点を当て、基本コンセプトである「consistency regularization」「entropy minimization」について具体的な手法を交えて紹介しました。

techblog.morphoinc.com

2回目の記事では最近に至るまでの数々の手法について紹介します。

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画像分類タスクにおける半教師有り学習 第1回

こんにちは、モルフォリサーチャーの芳賀です。

一般に機械学習で精度の高いモデルを作るためにはドメインに応じたたくさんの学習データが必要となります。 しかし実際の業務においては、入力データは容易に集められてもアノテーションコストが問題になる場合があります。 「手元にたくさんデータはあるけどアノテーションが大変。」そういうときにアノテーションラベルが付いていなくても学習データとして使う手法の一つに半教師有り学習(Semi-Supervised Learning)というものがあります。

今回から3回に渡って、画像分類タスクにおいて半教師有り学習がどのように発展を遂げてきたかについて紹介します。

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(文献紹介)Depth Completionの最新動向

こんにちは、CTO室リサーチャーの角田です。

私は、今年4月に新卒としてモルフォに入社しました。3ヶ月の OJT が終了し、現在私は測距センサーの情報を用いることで画像処理品質を向上させるための研究開発に取り組んでいます。この分野では “Depth Completion”と呼ばれる手法の研究が行われています。研究の一環として、この“Depth Completion”に関連する論文調査を行いましたので、本エントリにて概要を紹介させて頂きます。

Depth Completion

近年のモバイル端末はカメラの進化が著しいですが、近年ではLiDARやToFといった測距センサーも搭載されており、それらにより画像に3次元的な情報を付与することができるようになりました。ただし測距センサーの弱点として

  • depthを部分的にしか測定できない

  • 解像度が低い

という側面があり、RGB画像と同程度の情報を得るには至っていません。

RGB画像とそれに対応するToF画像

そこで、測距センサーの出力をRGB画像並みに補完する"depth completion"という手法が近年盛んに研究されていまます。以下ではECCV2020に採択された以下の論文の概略と、実装を動かしてみた所感を紹介します。

JJ. Park, K. Joo, Z. Hu, C.-K. Liu, and I. S. Kweon.: Nonlocal spatial propagation network for depth completion

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