OJT 2024:カメラを用いた自律探索

こんにちは。2024年入社の南です。今年度の新人グループ研修について報告します。

はじめに

弊社では2か月間のグループ研修を実施しています。今年度の参加者は朱と南の2名で、テーマは「カメラを用いた自律探索」です。

ここでいう自律探索とは、ロボットが予め与えられたプログラムのみに従って、未知の空間内を網羅的に動き回ることです。具体的には、被災地の地図作成や倉庫管理などへの応用が期待されます。今回私たちは、家の中を自動で探索しその家の間取り図を作成するロボットの開発を目指します。研修内容としてはSLAM(自己位置推定と地図作成)やナビゲーションといったタスクに取り組みます。

この研修では、センサーとして光学カメラのみを用いることが要件として与えられました。自律探索ができるロボットはすでに社会実装されており、掃除ロボットや配膳ロボットなどがそれに当たります。これらは主にLiDARセンサーやRGBDカメラなど周囲の物体までの距離を測定できるセンサーを用いています。光学カメラで撮った画像からはこの距離を計算するのが難しいものの、LiDARなどより安価なため、ロボットの価格を下げることが期待できます。

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JDLA主催「CVPR2024技術報告会」発表資料

先日、日本ディープラーニング協会主催(JDLA)の「CVPR2024技術報告会」にてモルフォの技術者が登壇いたしました。

www.morphoinc.com

昨年に引き続きまして、CVPRという国際学会の重要性や、今年のトレンドの分析、モルフォの技術者が注目した分野や論文について紹介しました。

当日の発表資料を共有させていただきます。


発表動画については是非以下のリンクからご視聴ください。

https://www.youtube.com/live/uic0Z-Gk7ac

A Brief Survey of Schrödinger Bridge (Part I)

こんにちは、CTO室リサーチャーの長山と申します。

モルフォでは毎週金曜日に持ち回りで論文紹介等を行うJournal Clubという取り組みを行っています。 今回は、私がその場で発表したSchrödinger Bridge(シュレーディンガー橋; SB)という確率論的生成モデルスキームの解説スライドを公開いたします。

Stable DiffusionやMidjourneyに代表されるような画像生成AI手法は、ここ一年間で目覚ましい発展を遂げたことは記憶に新しいと思います。 その原動力となった基礎技術の一つが拡散モデル(Diffusion Models)です。 拡散モデルとは、データからノイズへと徐々に崩壊するような過程を学習し、その逆過程(すなわちノイズ除去)をシミュレーションすることで目標のデータを創り出すような手法と説明することができます(図1)。 高い生成品質かつ安定した学習を実現できることから、拡散モデルは画像生成AIにおける以前の主流であった敵対的生成ネットワーク(Generative Adversarial Networks; GANs)を現在進行系で置き換えつつあります。

図1: 拡散モデルの崩壊・生成過程(引用: arXiv:2006.11239

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OJT 2023: ジェスチャー認識とRealSenseを活用したARアプリ

こんにちは。23年度入社のリサーチャーの三冨です。入社後2か月間にわたったグループ研修の内容と結果について報告します。テーマは「深度情報を利用したアプリケーション」です。 ​

はじめに

私たちはECサイトで用いられる商品紹介のためのARアプリを題材として研修を行いました。このようなアプリの例として家具の配置をシミュレートするARアプリが挙げられます。カメラ映像に3Dモデルをリアルタイムに重ねて表示できるものです。部屋を映せば家具のコーディネートが購入前に確認できます。

このようなアプリに、3Dハンドジェスチャー認識機能を搭載して機能拡張することを考えました。通常の2Dジェスチャー認識に加えてカメラと手の距離が分かることで、より正確な認識とより直感的な操作ができます。それを活かせれば、ゆくゆくは3Dモデルを実物のように運んだり動かしたりできそうです。

RealSenseはこのようなアプリの実装に適しています。RealSenseは深度(カメラと映った物との距離)センサとRGBセンサを合体させたデバイスであり、深度イメージ処理用のプロセッサや豊富なライブラリも用意されています。そのためリアルタイムに3Dジェスチャー認識するアプリを短期間で作成するのにうってつけでした。

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JDLA主催「CVPR2023技術報告会」発表資料

先日、日本ディープラーニング協会主催(JDLA)の「CVPR2023技術報告会」にてモルフォの技術者が登壇いたしました。

www.morphoinc.com

CVPRという国際学会の重要性や、今年のトレンドの分析、モルフォの技術者が注目した分野や論文について紹介しました。 資料を見たいという声を多数いただいたので発表資料を共有させていただきます。


発表動画については以下のリンクから是非ご視聴ください。 https://www.youtube.com/watch?v=XVgUvFig-_M

Contrastive Learningの最新動向のレビュー

 こんにちは。CTO室リサーチャーの鈴木です。今回は、深層学習の分野でここ数年盛り上がっているContrastive Learning系の手法について、主だった論文を系統的にまとめて紹介したいと思います。

はじめに

 近年発展した自己教師あり学習(Self-Supervised Learning:SSL)は、アノテーション情報を人の手ではなく機械的に付与することで、データセットの構築にかかる時間やコストを軽減し、深層学習モデルの精度向上を目指した手法です。自然言語処理分野におけるSSLは大きな成功を収め、ChatGPT等の超高性能なチャットボットの出現にも影響を与えました。

 SSLは主に深層学習モデルの「事前」学習として用いられます。SSLによって、文章や画像に含まれる一般的な特徴を大量のデータから学習することができます。これにより、文章生成や画像認識などの本学習の効率が向上し、最終的な性能向上にもつながります。したがって、SSLは、深層学習において広く使用される重要な技術の1つであると言えます。

 今回紹介するContrastive Learning(CL)は、画像処理における代表的なSSLの手法です。データ内で似たもの(正例)と似ていないもの(負例)をグループ化し区別するように学習することで、モデルがより質の高い特徴量を抽出できるようにする手法です。

 本記事ではまずCL手法の基本について説明し、その後近年のCL論文28本について、各手法がCLのどの部分を改善したのかに着目して分類し、それぞれの概要を説明いたします。

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実務訓練 2022:ネイル画像生成アプリケーションの作成

 本記事は、2022年度の実務訓練で勤務した高橋快斗さんによる寄稿です。


はじめに

 はじめまして。2023年の1月から2月にかけて株式会社モルフォで実務訓練を行っていた豊橋技術科学大学の高橋です。 本実務訓練では、昨今話題のText-to-Image技術を応用したネイル画像生成アプリケーションを作成しました。このアプリケーションでは、ユーザーがネイルデザインを指定することで、自動的に画像を生成することができます。

生成画像

 早速ですが、生成されたネイル画像は図1になります。

生成画像の例
図1 生成画像例

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