(文献紹介) HDR+, Night Sight

CTO室所属の松尾と申します。 技術者主体の情報発信の場として技術ブログを開設することにしました。 どうぞよろしくお願いします。

最近のスマートフォンには、夜景など僅かな明かりしか存在しない場合でも撮影が可能になるような機能が搭載され始めています。暗がりの撮影では、元の光量が少ないことに起因するノイズが⼤きな問題となるため、⻑時間の撮影と画像処理によるデノイズによって夜景の撮影を実現しています。本稿ではその中でもよく知られている Google Pixel ™ のNight Sight(夜景モード)の内部原理について紹介します。

HDR+

S.W. Hasinoff et. al, “Burst photography for high dynamic range and low-light imaging on mobile cameras”. Google Pixel ™ の撮影アルゴリズムのベースであるHDR+の元論⽂を紹介します。HDR+は 1. バースト撮影(同じ露光時間で撮影) 2. Bayer上で(周波数空間を利⽤した)デノイズ/合成が行われることが特徴的で、本稿ではそれらの処理を可能にする要素技術について紹介します。

Night Sight

O. Liba et. al, “Handheld Mobile Photography in Very Low Light”. 次に、⻑時間露光により夜間撮影でも昼間のような明るさで撮影を可能にする Night Sightの元論⽂を紹介します。ベースのアルゴリズムはHDR+とほぼ同じですが、Low Light⽤に特化した⼯夫が追加されています。本稿では露光時間の決定⽅法、ロバストな合成処理、デノイズ強度の⼯夫、および最終的な画像の味付けなどの要素技術について紹介します。