はじめまして、CTO室所属の芳賀と申します。 2019年に印刷機メーカー子会社からモルフォに転職して参りました。よろしくお願いいたします。
今回はエッジ保存に注目した画像フィルタについて紹介します。 画像中のノイズの除去(デノイジング)や、不要なテクスチャの除去(スムーシング)等のタスクにエッジ保存系のフィルタがよくアルゴリズムとして使われています。具体的にはBilateral FilterやGuided Filterと呼ばれているものが有名です。これらは、反復的に最適解を求める手法*1と比べて品質は劣りますが、処理が速いためリアルタイム処理が可能という実用性があります。 今回紹介する2つの論文の手法は、どちらも非常にシンプルなアルゴリズムの画像フィルタであり、既存の手法より高い効果が得られるものとなっています。
Side Window Filter
1つ目はCVPR2019のOral Sessionにて採択された論文です。Side Window Filter単体として使うものではなく、既存のフィルタに組み合わせて使うことで、たとえBox Filterであってもエッジ保存の品質を劇的に向上するフレームワークになっています。考え方自体は非常にシンプルで、注目画素周辺で定義できるいくつかのSide Windowというものを考え、それぞれでフィルタ処理した中からエッジがつぶれにくいものを選ぶというものになっています。単純なデノイジングだけでなく、HDR、テクスチャ除去、着色といったタスクにも幅広く応用できます。また、HDR処理などで通常発生してしまうアーティファクト等を抑制できる効果も期待できます。
Curvature Filter
次は、1つ目の論文の第二著者の論文です。Curvature Filterとは、ここでは画像の画素値データを2次元曲面と考え、各点での曲率や勾配を3×3の周辺画素の演算で近似して画像のロス*2をimplicitに減らしていくフィルタです。 スライドではガウス曲率に注目したGaussian Curvature Filterについて紹介したいと思います。ガウス曲率が局所的に0になるようにフィルタ処理することで、自然なデノイズ効果が得られるところが面白い点となります。論文ではほかにも平均曲率に注目したMean Curvature FilterやTV正則化の考えを適用したTV Filterも述べているので、気になった方は元論文を読んでみるといいかもしれません。